一般社団法人八王子青年会議所
第57代理事長 菊嶌 太士
【はじめに】
私は八王子青年会議所に入会して以来、青年会議所運動を通して多くの経験と成長の機会
をいただきました。社業だけでは決して得ることが出来なかった多くの学びと気づき、そして多
くの素晴らしい仲間を得ることができました。入会前の私は、依頼が来た仕事をただただ淡々
とこなすだけの日々、地域のことなどほとんど考えることなく過ごしていました。しかし、青年
会議所運動を通じて、地域の課題を理解できるようになり、魅力を知ることが出来ました。ま
た、社業においても、計画から検証までを行って仕事をできるようになったのも、青年会議所
の経験からだと思っています。私を成長させてくれた八王子青年会議所を、より魅力的な組
織にするために、八王子青年会議所のメンバーと共に、地域課題や魅力をより一層深く調査
研究し、地域の魅力を最大限引き出す運動発信することで、地域から多くの共感を集め、地
域から愛される八王子青年会議所を創り上げて参ります。
八王子には多くの魅力がありますが、私は特に2つの魅力に着目しています。
1つは高尾山の魅力です。高尾山は世界一の登山数を誇り、ミシュランで三ツ星を獲得して
おり、世界的にも認知された有名なお山です。また霊山・高尾山として高尾山薬王院有喜寺
が、今もなお、祈りのお山として素晴らしい魅力を有しています。しかし、行楽地としての高尾
山は多くの市民が認知おりますが、本来の魅力である「霊山高尾山」としての認知は高くない
ように私は考えております。高尾山がもつ本質的な魅力を、本年度は高尾山と関係の深い八
王子森林パトロール隊と共に発信していきます。
2つ目は、50万人以上の都市でゴミの排出量が三年連続日本で一番少ない自治体という点
です。この魅力をメンバーや市民が、正しく理解し、より一層ゴミの排出量減少を推進していく
ことで、八王子はさらに美しい街になると私は考えます。より美しい八王子を目指し、ゴミ排出
量をより一層加速させるために、一人ひとりに何ができるのか、市民と共に考え行動して参り
ます。
コロナの感染拡大によって、社会の在り方は大転換しようとしています。コミュニケーション
の取り方、暮らし方、働き方への価値観が大きく変わろうとしています。コロナによって変わり
つつある社会は、コロナ以前のような状態に戻るとは到底考えられません。2022年度も、オ
ンライン化はより一層加速し、テレワークなどが常態化することで、移動や行動の必要性がな
くなり、多くの市民は地元にいる機会が増えると考えます。
そのような大転換期においても、私達八王子青年会議所は、良いものはしっかりと守り引き
継ぎつつも、新たな地域の魅力を探求し、メンバー一人ひとりが八王子の一員という自覚を
持つことで新たな価値を創造する、新たな時代に即した組織へと変化して参ります。
八王子青年会議所の理事長として、55年間の歴史を誰よりも重く受け止め、その重責を常
に考えながら、自らの行動やメンバーの事を考え一年間の理事長職を全う致します。
【八王子森林パトロール隊結隊55周年】
八王子森林パトロール隊は来年度結隊55周年を迎えます。その周年の年だからこそ、今
一度、八王子森林パトロール隊の存在意義を真正面から見つめ直し、今まで以上に価値あ
る団体として、学校や家庭では学べない体験の機会を、隊員たちに提供していく必要があり
ます。また、八王子森林パトロール隊は高尾山の方々と深い関係にあります。その関係性を
最大限生かして、高尾山から八王子森林パトロール隊と霊山高尾山としての魅力を、広く発
信して参ります。伝統文化や産業について、今までも多くの事業を通して八王子青年会議所
は発信して参りましたが、2022年度も素晴らしい八王子の伝統文化や産業を引き続き、若
者らしく楽しく、そして力強く発信して参ります。 八王子森林パトロール隊は「自然に親しみ体
を鍛え奉仕の精神を養う事」をモットーとして結隊されてから55年、今日でも50名以上の子
供たちが高尾山を中心に活動を行っています。結隊よりゴミの持ち帰り運動などで高尾山の
保全活動に尽力した結果、2007年に高尾山はミシュランガイドで三ツ星に選ばれ、現在で
は世界一登山数の多い山として八王子の代表的な行楽地となりました。また高尾山は行楽
地として有名ではありますが、霊山・高尾山として「祈りのお山」としても信仰され多様な魅力
を生み出しています。また2020年に日本遺産ストーリーに認定された「桑都物語」は、高尾
山を中心に八王子の魅力と魅力が繋がりあって構成された物語です
。本年度は八王子森林パトロール隊の隊員と共に、霊山としての高尾山の魅力と桑都物語
の魅力的なストーリーを、高尾山の登山客、そして市民へと広く発信して参ります。
【会員拡大】
人口58万人の八王子市において、八王子青年会議所は2007年度に会員数が100名を
下回って以来、今日までの15年間、一度も100名以上のメンバー数で運動を展開できてい
ない現実があります。かつては最大200名近くあったメンバー数も、ここ近年は60~70名前
後となっています。また、2020年に発生した新型コロナウィルス感染症による影響で約2年
間、繰り返し発令された緊急事態宣言、まん延防止等重点措置により、八王子青年会議所は
思うように運動を展開することが出来ず、組織としての魅力を同世代の若者に伝えることが
出来ていないことから、会員数の拡大が進んでいない現状があります。
しかし、いつまでもコロナを言い訳にしている訳にもいきません。ワクチン接種がスタートした
ことで、社会には新たな時代が訪れようとしています。
コロナ終息後の社会においても、私たち八王子青年会議所は地域のために、修練・奉仕・
友情の三信条をもとに、明るい豊かな社会を目指し社会課題の解決に向け、積極的に取り組
んでいかなければなりません。また、青年会議所には人材育成機関という側面があることも
決しては忘れてなりません。青年会議所には、自らを大きく成長させる機会があります。青年
会議所運動を行うことで、志を同じうする切磋琢磨できる最高の仲間と出会うことができる、
地域の課題を知り、解決策を模索するなかで事業構築のスキルを養うことができる、そして、
多くの仲間と一つの大きな目標達成を目指すことで、リーダーシップ能力を磨くことができる、
青年会議所には多くの成長の機会があるのです。
青年会議所活動を通して成長したメンバーが、卒業後、社業を発展させるだけではなく、地域
活動にも邁進することこそが、持続可能な地域を創り上げていくのだと私は信じています。こ
の素晴らしい青年会議所の機会と、八王子青年会議所の魅力を、はっきりと明確に同世代の
若者に伝えていくことで、更なる地域活性化のためにメンバー数100名を目指し、会員拡大
に向け全力で取り組んで参ります。
【八王子のまちの創造】
八王子の人口は58万人で東京都内の市の中では最多であり、面積も奥多摩に次ぐ2番目
の広さを有し、高尾山や陣馬山などの山々もあり、森林面積は自然体の約46%を占めると
ても自然豊かな街です。また2015年には東京都内で初めて中核市として指定され、2017
年には市政 100 周年を迎えました。八王子中心市街地の再開発も進み、進化し続ける街で
ありながらも、八王子芸妓衆、車人形、八王子まつり、山車、神輿、八王子織物など多くの伝
統芸能、伝統文化、伝統産業が未だ地域に根深く根付いている街でもあります。また21の大
学があり約10万人の学生が住み暮らす全国有数の学園都市であります。東部地域に目を
向ければ、多摩ニュータウンが広がりベットタウンとしても発展をしてきました。そして、2020
年には「霊気満山高尾山~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」が東京都で初めての日本遺産の
認定を受けました。これらすべて私たち八王子市民が誇るべき、八王子の魅力であることは
間違いありません。
しかしながら、これらの八王子の魅力をどれほどの市民が正しく理解し、誇りに思っているの
でしょうか。資源が豊富過ぎるがゆえに、魅力を魅力として捉えられていないことも十分に考
えられるのではないでしょうか。また八王子の魅力はここに記載したものだけではありませ
ん。例えば八王子は50万人以上の都市でゴミの排出量が三年連続日本で一番少ない自治
体です。これらは行政と市民が一体となって生み出している紛れもない地域の魅力の一つで
す。
私はこのような八王子の魅力を、市民にもっともっと知ってもらいたいと考えています。また私
たちの知らない八王子の魅力を発掘し、その魅力を広めていきたいと考えています。そして
近年、八王子青年会議所で行ってきたエアポートライナーについても諸団体や近隣 LOM とも
話をしていき進めていき新たな魅力を創出したいと考えています。
本年度は学生と連携して、若者目線での八王子の新たな魅力発掘に挑戦をします。新たな
魅力を発掘することで、八王子はより一層魅力的な街となります。また若者目線での魅力を
発掘することで、若者が住み続けたいと思える街づくりに貢献してしたいと考えています。八
王子には約10万人の学生が住み暮らしています。その学生たちが八王子を魅力に感じてく
れたら、きっと、八王子に住み続けてくれるのだろうと私は思います。若者が住み続けたいと
思える街、八王子の創造に向け挑戦して参ります。
そしてもう一つ、私たち八王子青年会議所は更なるゴミ排出量減少も推進して参ります。日本
で一番ごみが少ない街、日本で一番美しい街を目指して挑戦して参ります。
【未来を担う青少年育成】
2015年に国連サミットで採択されたSDGs、私たち八王子青年会議所メンバーも日本青年
会議所が2019年に外務省と持続可能な開発目標(SDGs)推進におけるタイアップ宣言をし
て以来、青年会議所運動を通して積極的に推進をして参りました。最近ではテレビや雑誌な
ど、多くのメディアでSDGsが取り上げられるようになり、2021年度のSDGs認知度は45%
を超えました。しかしながら、個人の生活、中小企業活動に目を向けると、まだまだSDGsを
上手く取り入れられていない現状があるのも事実であります。
だからこそ、私たち八王子青年会議所は、2022年度も八王子で一番SDGsを推進する団体
として、例会や事業を通してSDGsを積極的に推進して参ります。
本年度は小学生を対象にSDGs推進事業を展開します。小学生が家庭内で自然とSDGsを
実践することのできる環境を創ることができれば、その親も自然とSDGsを取り組むことにな
ります。一人の100歩より、100人の一歩が期待できることを仕掛けていくことで、八王子市
民58万人全員がその一歩を踏み出せば、八王子が変わり、八王子が変われば、東京変わり
日本が変わり、そして世界が変わることで、持続可能な地球に繋がっていくと私は考えます。
私たち青年世代が、子供たちにどのような未来を残すのか。大きな夢を描き、地道にそして確
実にSDGsを推進して参ります。
【広報・総務】
どんなに良いことをやっていても、そのことを誰も知らなければ、やっていないのと同じだと
私は思います。広報は八王子青年会議所の存在を社会に示し、魅力を伝える上で絶対に欠
かせないものであると私は考えます。良い事業を行うことは大前提でありますが、良い事業を
効果的に広報することで、市民が八王子青年会議所に興味関心を抱き、事業に参加参画し
てくれることで、市民から私たちの運動に対し共感が生まれるのです。
効果的な広報を行うためには、誰に何を伝えたいのかを明確にした上で、対象者に向け有益
な情報を発信して行く必要があります。そのためには、私たち八王子青年会議所メンバーが、
義務として広報するのではなく、主体的に広報を楽しみながら、地域目線、市民目線で運動
を発信しかなければなりません。そもそも自分たちが楽しんでいないことや、有益だと思って
いないことを発信したところで、市民が楽しんでくれることもなければ、有益だと思ってもらうこ
ともないと思います。だからこそ、本年度は私が理事長として誰よりも先頭に立ち、率先してメ
ンバーと共に楽しみながら広報活動を行って参ります。
【結び】
結びに、55年間という長きに渡り歴史を紡ぎ、関係諸団体や行政との関係性を立派に築
き、今日までその関係を維持してきたおかげで、私たちが青年会議所運動に全身全霊で邁進
できることができます。歴代理事長をはじめとする先輩諸兄姉に対し心からの尊敬と、敬意を
表します。また、地域諸団体の皆様においては、我々の様々な事業において、常にご支援ご
協力をいただいておりますこと、深く感謝を申し上げます。
我々、八王子青年会議所は諸先輩方が築いてくださった立派な礎を大切にし、これからも
様々な地域課題を抽出し、新たな魅力を創造し発信するため、一番を掴み取れる青年団体と
して在り続けます。八王子青年会議所は「八王子」という繋がりをもったメンバーで構成されて
います。私たちは八王子を愛し、八王子をより魅力的で一番の街にするために全力で行動し
て参ります。私自身、八王子青年会議所に2013年から入会し、多くの機会をいただき学びを
得ることが出来ました。また多くの仲間と運動・活動をし、常に多くのメンバーに支えていただ
いたおかげで今の私があります。最高の仲間とともに、成長させていただいた八王子青年会
議所の理事長という重責をしっかりと噛みしめ、この地域においても重い存在である理事長
職の自覚をもって行動し常にメンバーのことを考えられる理事長として一年間、全身全霊で私
自身が一番を掴み取れる一年としてこの重責を全うして参ります。